Creator's Blog,record of the designer's thinking

研究者の頭とクリエイターの感性で、書き、描き、撮り、制作しています

1009.通路もデッキもトランクまみれの「のぞみ号」

愛知県新東名(2025年11月16日)

今月は、ありがたいことに舞踏の映像撮影が二件ある。
「よし、ボランティアだと思って出かけますかね」と、半分やけっぱちな気分で家を出た。

いつもの“新幹線・外国人ラッシュ地獄”だけは避けたい。
そこで今回は、事前に自由席券を購入するという高度な戦術を採用。
自由席なら、ホームで並ぶだけでいい。
怒涛のトランク軍団に踏みつぶされる確率も下がる。

エスカレーターを上がりながら、ふと先日のJTBでの会話が頭をよぎった。

「自由席のチケットは扱いませんよ」

……なるほど、つまり指定席を買えと。
JTBで買ったら、いやがおうにも“のぞみの指定席”。
あれに乗った瞬間から、旅は誤算の連続である。

指定席車両に入ると、通路には外国人旅行者の巨大トランクが合法的に侵略している。
ときには指定席が取れなかった旅行者たちがデッキに固まって、そこだけ別の民族国家みたいになる。
その状態でトイレに行こうものなら、スラローム競技さながらだ。

「じゃあグリーン車は?」
こう思う人もいるだろう。

海外在住の外国人が買える“ジャパンレイルパス・グリーン”というものがある。
のぞみには乗れないが、それ以外のグリーン車は乗り放題。
つまり、グリーン車は外国人専用の避難シェルターだ。

なぜなら彼ら、普通に運賃を払えばのぞみにもガンガン乗る。
日本全国、どこでも、だ。

だから結局のところ、
「外国人と巨大トランクの隙間を通り抜けてトイレに行く」という試練からは逃れられない。
グリーン車であろうとなんであろうと、構造は同じ。

鉄道旅は、なんというか……面倒くさい。
人流を規制だの制度だので小難しくコントロールしようとする、そしてうまくゆかない。私はあの“せこい空気”が苦手だ。
普段は飛行機しか使わないので影響は最小限だが、たまに新幹線に乗ると精神的な摩耗が激しい。

そういうことをブツブツ考えながら、私は新幹線いつもの空いているこだま号で三河安城へ。
そこでK君の車にピックアップしてもらい、鳴沢の滝へ向かった。ヴォルヴォが快適に新東名を走り抜ける。

新幹線を降りると開放された気分で快適な旅がはじまる。